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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
お鎌も内々それを心配していると、その日が暮れてから、おまんが深川から通って来て、なにかの用でお鎌の店へも寄ったので、お鎌はこれ幸いと思って、十五夜御用心の一件をおまんにささやくと、おまんも薄々それを察していたので、万事はあたしに任かせて置きなさいと云って帰った。その帰り途で元八に出逢ったので、おまんはわざと白らばっくれて、神明様はどこですなどと訊いたんです」
「元八はおまんを知らなかったんですね」
「坊主たちは格別、おまんと虚無僧二人はよほど出這入りに気をつけていたと見えて……尤も今と違って人家はまばらで、あたりには田や畑が多いんですから……近所の者もよくは知らなかったそうです。元八も知らないで化かされた。まったく悪い狐です。その狐に執拗く絡み付いて来るので、おまんも内心持て余しているところへ、丁度に石田と水野の虚無僧が来あわせて、元八は忽ちずでんどうという始末。それから、おまんと虚無僧の三人連れは、元八にあとを尾けられたとも知らず竜濤寺へ帰って、全達、全真と五人一座でいよいよ月見の酒宴をはじめると、どの人にも酔いが廻って、喧嘩を仕掛ける筈の石田が先ず倒れる、つづいて全達が倒れる、次に全真が倒れる、最後に水野が倒れる、小栗判官の芝居じゃあないが、将棋倒しにばたばたという事になってしまったんです。