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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
「本人はどうで重いお仕置になるのだと思って、したい三昧の事をしているのでしょうが、ほかの者が助かりません。この世の地獄とは本当にこの事です」
思い出しても恐ろしいように、彼女は身ぶるいして話した。染之助が帰ったあとで、吉五郎はなにか考えていた。
「おい、半七。花鳥という奴はひどい女だな」
「色気違いでしょうか」
「色気違いばかりじゃあねえ、なんでも酷たらしいことをして楽しんでいるのだろう。そこで、今の鰻の一件だが、娑婆で六百文くれえの鰻飯だって、それが牢内へはいるとなりゃあ、牢番たちによろしく頼まなけりゃあならねえから、べらぼうに高けえ物になって、まず一杯が一両ぐれえの相場だろう。女義太夫は百日以上も入牢していたのだから、毎日うなぎ飯を一杯ずつ食わせても百両だ。島破りの女が一年ぐれえの間に、何を稼いだか知らねえが、そんなに大きいツルを持っているというのは不思議だな。江戸へ帰って来てから、どうで善い事をしていやあしめえと思っていたが、あいつも相当の仕事をしていたに相違ねえ」
「そうでしょうね」
云いながら二人は眼をみあわせた。云い合わせたように、ある疑いが二人の胸に湧き出したのであった。