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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
偽物をこしらえて掏り換えたというが、それは丸多の亭主が欺されているので、実は自分が偽物を掴まされているのだろう」
「成程ね」
「そうなりゃあ論はねえ。丸多の亭主は誰にかだまされて、偽物を高く買い込んだというだけのことだ。おれはどうもそうらしく思う。念のためによく調べてみよう」
二人は松並木のあいだを縫って本社の前に出ると、境内は思ったよりも広かった。東にむかった社殿に幾種の絵馬が懸けつらねてあって、そのうちにかの白鷹の絵馬も見えたので、二人は近寄って暫く無言で見あげていたが、やがて半七は自分の予覚が適中したようにほほえんだ。
「おれは素人で、こんな物の眼利きは出来ねえが、彩色といい、木目といい、どう見ても拵え物じゃあねえらしい。こりゃあ確かに本物だ」
神仏混淆の時代であるから、この八幡の別当所は大宮寺という寺であった。半七は別当所へ行って、自分たちの身分を明かして、かの絵馬について聞き合わせると、寺僧らもおどろいて出て来た。彼らは半七の眼の前で、かの絵馬を取りおろして裏表を丁寧にあらためたが、絵馬にはなんの異変もなく、当社伝来の物に相違ないと云った。
「いや、よく判りました。