Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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きょくていばきん

曲亭馬琴

邦枝 完二

Read 曲亭馬琴 (きょくていばきん) by 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,788 characters · 24 screens

Aozora Bunko

「にがい。――」

「我慢しろ。おめえが腹痛を起したのが悪いんだ」

頑固な父は、年賀を中途で止めにした腹立たしさも手伝ったのであろう。笑顔ひとつ見せずに、こういって額へ八の字を寄せた。

それでも京山の腹痛は二時ばかりのうちに次第におさまって、午少し過ぎには、普段通りの元気に返っていた。が、父は要心のためだといって、今度は茶碗へ解した「熊の胃」を、京山の枕許へ持って来ていた。

「苦くても、我慢してもう一度飲むんだ」

京山は怨めしそうに父を見上げたが、叱られるのを知って、拒むことも出来ず、ただ黙って頷いた。

「兄ちゃん」

父が去ってしまうと、京山は京伝と熊の胃とを見くらべながら、小声で訴えた。

「おいら、苦いから、もういやだ」

「いけない。飲まないと、あとでお父っあんに叱られるよ」

「もうお腹は癒ったから、飲まない」

そこへ次の間から父の咳払いが聞えた。と、その刹那、突如として京伝の指は茶碗を掴んだ。そして苦い熊の胃は、忽ち一滴も余すところなく、京伝自身の喉を通って、胃の腑へ納まったのだった。

次の瞬間、果して父は障子を開けていた。が、茶碗の中に薬のないのを見ると、再び黙って頷いたまま、部屋の方へ戻って行った。