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まつのみさおびじんのいきうめ
松の操美人の生埋
宇田川 文海
Read 松の操美人の生埋 (まつのみさおびじんのいきうめ) by 宇田川 文海 (うだがわぶんかい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,034 characters · 7 screens
言文一致の法を用い、高尚の議論を著わし緻密の思想を述ぶるに、佶屈牙の漢文に傚わず、艶麗嫻雅の和語を摸さず、務めて平易の文字と通常の言語を用い始めしより、世の後進輩靡然として其の風に習い、大いに言語と文章の径庭を縮めたるは余の尤も感賞する所なり、いな大いに世の文明を進め人の智識を加うるに稗益あり、且夫試に言語と文章の人の感情を動かすの軽重に就て爰に一例を挙んに、韓退之蘇子瞻の上に駕する漢文の名人、紫式部兼好法師も三舎を避る和語の上手をして文を草せしめ、之を贈りて人の非を諫めしむると、訥弁鈍舌の田夫野老をして面前言を呈して人の非を諫めしむると、其の人の感情を動す孰れか深き、韓蘇紫兼の筆恐くは田夫野老の舌に及ばざらん、又他の一例を引んに、後醍醐天皇新田義貞に勾当の内侍を賜わる、義貞歓喜の余り「されば死ねとの仰せかや」の一語を発せる旨太平記に記せるを、或る漢文の名家、其の語を漢訳して曰く「吾をして死なしむるなり」と原訳両文の人の感情を動す孰か深きと言うに、原文の妙、訳文に優ること数等なるを覚ゆ、蓋原文は言語に近く訳文は言語に遠ければなり、又本多作左が旅中家に送りし文に曰く「一筆申す