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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Read 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,073 characters · 223 screens
だって鳥だってけものだって同じことだ、男と女のほかになにかあったらふしぎではないのか、となをこが反問した。よせ、そんなことはふしぎでもなんでもない、ふしぎなのはどうして男が男に生れ、女が女に生れて来るかということだ、とふじこが云った。それは男の血気が強いと女が生れ、反対のばあいに男が生れるのだそうだ、ときよきが云った。嘘っぱちだ、とふじこがきめつけた。なにが嘘っぱちだ。平四を見な、平四はあんな腑ぬけみたようで、年じゅうひょろひょろしているのに、生れるのは女の子ばかりではないか。それは見かけの話しだ、ときよきが云った。精が強いか弱いかは見かけではわからない、平四は青んぶくれて腑ぬけのように見えるが、あのことにかけては精が強いのだ。おうれ、きよきはよく知っているだな、とふじこが云った。あのことってなんのことだ。なんのことかふじこは知らないのか。うん知らねえ、知らねえから訊くだ。「あれ、いいふりこきが知らねえってよ」ときよきが云った。それを知らないで久兵衛と祝言する気か。よしてくれ、久兵衛のことを云うな、とふじこがふくれた。「つまらねえ、そんな話しよすべえ」