Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Read 次郎物語 (じろうものがたり) by 下村 湖人 (しもむらこじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 159,223 characters · 320 screens
しかし、そのあとがいけなかった。
「だけど、直吉も忙しいんだからね。もしか迎えに行けなかったら、お前がつれて帰るんですよ。俊三はお前のお勉強がすむまで、校番室に待たして置くように、お浜にも話してあるんだから。」
次郎は、それですっかりぺしゃんこになった。
むろん彼は、母の矛盾に気がつかないことはなかった。
(僕が校番室に出入すると、あんなにやかましく言うくせに。)
彼はそう考えたが、それを口に出して言おうとはしなかった。言えば藪蛇だと思った。
で、とうとう次郎は、翌日から、俊三の学校通いのお伴をすることになってしまった。手があいておれば迎えに来るはずの直吉は、ただの一度も来なかった。
次郎の自由な天地は、それ以来ほとんど台なしになってしまった。彼は時間どおりに家を出て、時間どおりに家に帰ることを余儀なくされた。そして、家に帰ると、すぐ復習をさせられたり、用を言いつかったりした。お民としては思う壺で、いつも機嫌がよかった。しかし母の機嫌がよければよいほど、次郎の心は憂欝になっていった。
それに、このことは、次郎に、もう一つ、ちがった意味で大きな苦痛を与えた。