Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Read 武蔵野 (わすれえぬひとびと) by 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 94,018 characters · 192 screens

Aozora Bunko

』お梅は時田の顔を見て言ったがその声は少し震えていた、しかし時田はそんなことには気がつかないかして、すこぶる平気で、

『なるべくは家にいた方がよかろう、そうしないとなおの事継母との間がむずかしくなるからッて、留めてやった、かあいそうに泣いていたよ。』

『泣いて? まアかあいそうに。』お梅は涙ぐんで黙ってしまった。それも時田には気が付かない、

『なんでも詳しい事は聞かなんだが、今度の継母に娘があってそれが海軍少将とかに奉公している、そいつを幸ちゃんの嫁にしたいと思っているらしい、幸ちゃんはそれがいやでたまらない、それを継母が感づいてつらく当たるらしい、だから幸ちゃんの身になって見るとたまらないサ。』

『そうなのよ、わたしもその事はちょっと聞いてよ、そうなのよ、だってあんまりそれは無理だわ……』まだ何か言いそうな時、突然橋の上に通り掛かった男、お梅の顔をのぞき込んで

『オヤ梅ちゃん、今晩は、』と意味ありげに声を掛けて行き過ぎた。橋を渡ったと思うとちょっと振り向いて、

『忘れていた、幸ちゃんによろしく。』

『知らないわ、お菊さんが待ってるよ。』

『ハハハハありがとう。