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しのよこく
死の予告
野村 胡堂
Read 死の予告 (しのよこく) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 17,149 characters · 34 screens
「新聞記者ではなくて、今日は探偵なんです。その手紙というのを詳しく説明して頂けませんか」
「エ、じゃお話しましょう」
急に真面目な表情になって、瑛子は言葉を継ぎます。
「ハトロンの封筒で、字はたしかに大川が自分で書いたのよ。神田――町――とだけは見たんですが、あとは覚えちゃ居ません。新しい切手が貼ってあったようですから、大川が書いてまだ出さずに居る手紙だったでしょう」
「それが、何時、どうして失くなったんです」
「まあ、変な探偵さんね、そんな事がわかれば、失くしなんかしないワ。私がお医者へ電話をかけて、もう一度書斎へ飛んで帰ると、その時はもう大勢の人が入って居て、大変な騒をやって居たようでしたが、たしか、その時はもう手紙は無くなって居たようよ」
「それだけか」
「エエ」
「じゃ、もう宜しい、彼方へ行っても」
「まアー」
伯爵がローンの方を頤で示すと、瑛子は少し機嫌を損じたらしく、ムッとした顔でクルリと背を見せます。
「探偵さん探偵さん、お話が済んだら入らっしゃい、テニスで油を取って上げるから」
「あれだ、この節の女は本当に仕様が無い」
伯爵は、いとも苦々し気にその後ろを見送って居ります。