Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しけんといきなわ

死剣と生縄

江見 水蔭

Read 死剣と生縄 (しけんといきなわ) by 江見 水蔭 (えみすいいん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 15,104 characters · 31 screens

Aozora Bunko

狂か、痴か、いずれにしても今又自分が飛込んだら、どんな邪魔をするか知れないのだ。

竜次郎は咄嗟に覚悟をした。

「えいっ」と早技。力一杯に手裏剣を打った。それは刀の小柄を抜いたのだ。五十間飛ばしたのは見事で有った。若も命中して、悪僧の眉間に白毫を刻する如く突立った。

「わっ」と一声。後ざまに打倒れて、姿は此方から見えなく成った。何んとも云えぬ好い気味で有った。

竜次郎は手早く衣類を脱いだ。手甲、脚半とまでは届かなかった。小刀を下帯に後差しにして、新利根の堀割へと飛込んだ。

五間六間は何んでもなかったが、十間十四五間と進むに連れて、思ったよりも藻の繁りは多かった。手に搦み、足に搦み、それは恐るべき魔力の有るのに驚かされた。藻にも菱にも霊が有って、執念深く仇をするものとしか取れなかった。裸体でさえ是だから、衣類を着ている小虎は、嘸泳ぎ難いだろうと思い遣った。

字の如く藻掻き藻掻き又一二間は進んだけれど、もう如何しても前に出られなくなった。恰も本縄の雁字搦に掛ったように感じられた。

「おう、然うだっ」

竜次郎は心着いた。生縄のお鉄から教わった縄抜け縄切りの法を、此所に早速応用するのだ。