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どくガスはつめいかん
毒瓦斯発明官
海野 十三
Read 毒瓦斯発明官 (どくガスはつめいかん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 9,511 characters · 20 screens
で、わしに会いに来たというのでは、また何か大それた無心じゃろう」
金博士は、やっぱり前跼みになって、飾窓の中をのぞきこみながら口を動かした。博士は、まさか頭の上に忍びよったる大蜘蛛と話をしているのだとは気がついていない様子に見えた。
「やあ、そのとおり、それが図星でございますよ。余――いや小生はこのたびぜひとも博士にお願いをして、毒瓦斯をマスターいたしたいと決心しまして、そのことで遥々南海の孤島からやって参りました」
「毒瓦斯の研究か。そんなむずかしい金のかかるものは、お前の柄じゃないぞ」
「いえ博士、そう仰有らないで、是非にお願いいたします。今こそ孤島に小さくなっていますが、昔日の太陽を呼び戻すには、猛毒瓦斯を発明し、その力によってやるのでないと全く見込みなしとの結論に達し、博士にお縋りに参りました。ぜひともこの醤を哀れと思召し……その代り、お礼の方はうんときばり、博士のお好みのものなれば、ウィスキーであろうとペパミントであろうと……」
「そうか。それは本当じゃな。男の言葉に二言はないな――というて相手がお前じゃ仕様がないが……」
といいながら、博士は飾窓から顔を放して腰を真直にのばしたものだから、さっきから垂れ下っていた大蜘蛛が一揺れ揺れると、博士の顔へぴしゃと当った。