Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

みずのおんな

水の女

折口 信夫

Read 水の女 (みずのおんな) by 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 18,525 characters · 38 screens

Aozora Bunko

柳田先生の言われたように、卯月八日前後の花祭りは、実は村の女の山入り日であった。おそらくは古代は、山ごもりして、聖なる資格を得るための成女戒をうけたらしい日である。田の作物を中心とする時代になって、村の神女の一番大切な職分は、五月の田植えにあるとするに到った。それで、田植えのための山入りのような形をとった。これで今年の早処女となる神女が定まる。男もおおかた同じころから物忌み生活に入る。成年戒を今年授かろうとする者どもはもとより、受戒者もおなじく禁欲生活を長く経なければならぬ。霖雨の候の謹身であるから「ながめ忌み」とも「雨づゝみ」とも言うた。後には、いつでもふり続く雨天の籠居を言うようになった。

このながめいみに入った標は、宮廷貴族の家長の行うたみづのをひもや、天の羽衣ようの物をつけることであった。後代には、常もとりかくようになったが、これは田植えのはじまるまでのことで、いよいよ早苗をとり出すようになると、この物忌みのひもは解き去られて、完全に、神としてのふるまいが許される。それまでの長雨忌みの間を「馬にこそ、ふもだしかくれ」と歌われた繋・絆(すべて、ふもだし)の役目をするのが、ひもであった。