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えどがわらんぽしにたいするわたしのかんそう
江戸川乱歩氏に対する私の感想
夢野 久作
Read 江戸川乱歩氏に対する私の感想 (えどがわらんぽしにたいするわたしのかんそう) by 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,478 characters · 13 screens
それは古本屋の店頭にゴミクタのように投げ出されてあった、表紙も奥もないボロボロの数十頁でしたが、その中に「江戸川乱歩」の署名がありましたので、私は又かと思いました。そうして読むともなく読んで行きますと、今度は「チョットいいなあ」と思いましたので、その汚ない数十頁を、たしか二銭か三銭ばかりで買いました。
それから山の中の一軒屋の寝床の中に落ち付いて、今一度繰り返して読んでみたのですが、そのうちに、私はスッカリ昂奮させられて、眠られなくなってしまいました。
私はズット前に或る処で、改葬に立ち会った事がありますが、その時に出て来た屍体の白い腐肉、褐色の血? 死水に浮く脂肪? のかがやき、太陽の黄色い臭気なぞ……それは今思い出してもウンザリして唾を吐きたくなる位ですが、そうした太陽の下のタマラナイ感じの数々を、私はソックリそのまま「白昼夢」の中に発見したのです。しかも、私にとっては一カタマリの不快感に過ぎないそのような印象を乱歩氏は細かに、やわらかに分解し、象徴化し、詩化し、小説化し得る人である事を、私はふるえ上るほど、うなずかせられたのです。
……白昼の人通りの中で、天日に顔を晒しながら、ダラシなく涙を流す中年男……うす暗いところで開け放しにされている水道の栓……ドラッグの人形の奇妙な形と光り……その中に交っ