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えどすいりせんりゅうしょう
江戸推理川柳抄
海野 十三
Read 江戸推理川柳抄 (えどすいりせんりゅうしょう) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,774 characters · 4 screens
飛びこんでこようが煤の仕廻い也
あがるなといわぬばかりの年始状
油屋のかいで出すのは値が高し
晴天に持って通るはかりた傘
中腰で割るのがまきの仕廻い也
引出をひんぬいて来る急な用
時々顔をちょぴっと見るほれたやつ
通りぬけ無用で通りぬけが知れ
このように並べて来た句は、同じ傾向の推理川柳である。これらの句の作者は、岡っ引に転向しても、きっとうまく勤めおおせたことであろう。いや、いや大岡越前守ぐらいにはなれる素質があると褒めても、褒めすぎはしまい。
右の句より、やや高級な推理川柳がある。それを少々挙げてみよう。
橋の番てっきり投げた水の音
風鈴のせわしないのを乳母と知り
井戸がえは深さを横に見せる也
此頃はつくるに亭主気がつかず
よい娘なんのいしゅだか悪くいい
試みにつめってみればむごん也
桐の木のもくで娘の年が知れ
あれを呼ぶ気だよと伯父が星をさし
雁列をみだしてばれる村出合
乳の黒み夫へ見せて旅立たせ
若いごぜ壁をさぐって一つぬぎ
ひとりでに釣瓶のさがる物すごさ
これらの句は、推理川柳として上乗の作品であると思う。
中にも「橋の番てっきり投げた水の音」は断然光っている。その水音を身投げと聞き分けるには技術が要る。