Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

きてき

汽笛

佐左木 俊郎

Read 汽笛 (きてき) by 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,469 characters · 10 screens

Aozora Bunko

秋子は顔をあげて列車を見送った。

「汽笛で判るかい? ほんとに?」

「判るわ。よく判るわ。鳴らす人によってみんな違ってよ。お父さんの汽笛はああいう吼えるような唸ような長い音なのよ。兄さんのは、何かしら三味線の絃でも敲くような、短い汽笛よ」

「ほんとに判るのかなあ?」

「そりゃ判りますとも。お父さんなど、機関庫中の人のをみんな聞き分けるのよ。私だってお父さんのと兄さんのと、それからお父さんの助手をしていた青木さんのと、三人の汽笛を聞き分けられるわ。ほんとなのよ。兄さんが機関車に乗り初めのころには、家の前を通る時には汽笛をきっと鳴らすのよ。ああ兄さんの汽笛だって窓から顔を出して見ると、真っ黒な顔で得意そうに笑って行くのよ。それから青木さんの汽笛はとても優しいの。泣くような。訴えるような。お父さんは青木さんの汽笛が鳴ると、ああ青木が泣くから、発車の時間だ、なんて出掛けて行ったものだわ」

「そんなによく判るものなら、お父さんは、僕達がここに来ていることを知ったら、ここを通るときには、汽笛を鳴らさないだろうな。あんなに怒つたのだから」

「さあ? 案外そうでないかもしれないわ。