Japanese reading practice

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さばくのびき

沙漠の美姫

国枝 史郎

Read 沙漠の美姫 (さばくのびき) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 6,658 characters · 14 screens

Aozora Bunko

「なぜそんなことをしたのです」

「呼韓邪単于を恋したからよ」

「それがどうしたというのでしょう?」

「一番醜い後宮の女を、呼韓邪単于の妾にやるのだと、そういう噂が立ったからよ」

「成程、それで、醜婦に描かせて、後宮を出ようとしたのですね」

「ええそうして呼韓邪単于と一緒に、砂漠へ行こうと思ったのですよ」

「単于は男らしい男ですからね」

「そうして何んて壮麗なのでしょう。この沙漠と沙漠の住民とは」

「兎に角漢の後宮とは、似ても似つかない有様ですね」

「無気力な淫蕩、狡猾な小細工、権勢の奪い合い、寵愛の取り合い、腐った空気、弱々しい人工美、……それが後宮の一切よ」

「活気ある性殖、力と力との戦い、雄大な自然美、すがすがしい空気……これが沙漠の一切ですね」

×

或夜私の幕屋の中で、呼韓邪単于の物語りを、王昭君と一緒に聞いた。

「匈奴と呼ばれている、我々の先祖はあの有名な夏后氏なのだ。我々の生活は自然で自由だ。水草を追って牧畜をする。馬や牛や羊や※駝や、驢※ややや騨※や、こういう物を牧畜する。城も持たなければ砦も持たない。太陽と風と水と草木とがわれわれの何よりの所有なのだ。