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かはくれいじょう
河伯令嬢
泉 鏡花
Read 河伯令嬢 (かはくれいじょう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 33,763 characters · 68 screens
急いで来て暑かったんでしょう。破蚊帳から抜出したので、帯もしめない。その緋鹿の子の扱帯が、白鷺に鮮血の流れるようです。
(こんなにして死ぬと……検死の時、まるで裸にされるんですって――)
(可厭だなあ。)
(手だの足だの、引くりかえされるんですって。……この石の上でしょうか、草の中でしょうか。私、お湯に入るのも極りが悪かった。――でも、そうやって検死されるのを、死ねば……あの、空から、お振袖を着て見ているから可いわ。私お裁縫が少し出来ます、貴方にも、ちゃんと衣服を着せますよ、お袴もはかせましょうね。)
私は一刻も早く、速に死にたくなった。
その扱帯を托って――娘が、一結び輪にしたのを、引絞りながら、松の幹をよじ上った勢のよさといったら。……それでも、往還の路へ向かない、瓜畠の方の太い枝へ、真中へ掛けて、両方へ、幻の袖のような輪を垂らした。つづく下枝の節の処へ、構わない、足が重るまでも一所に踏掛けて、人形の首を、藁苞にさして、打交えた形に、両方から覗いて、咽喉に嵌めて、同時に踏はずして、ぶらんこに釣下ろうという謀反でしてなあ。
用意が出来て、一旦ずり下りて、それから誘って、こう、斜の大な幹ですから、私が先へ、順に上へ這ったのですが、結綿の島田へ、べったりと男の足を継いだようで変です。