Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

かわはぜ

河沙魚

林 芙美子

Read 河沙魚 (かわはぜ) by 林 芙美子 (はやしふみこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,653 characters · 24 screens

Aozora Bunko

二人とも、ただ、隆吉だけを恐ろしいと思うだけである。そのくせ、隆吉に対する二人の愛情は信仰に近いほど清らかなものであった。

まつが、起きたような気配だったので、千穂子は箸を置いて奥の間へ行った。暗い電気の下で、ぶるぶる震える手つきで、飯をぽろぽろこぼしながらまつは食事をしていた。

「おかあさん、起きたの知らなかったンだよ」

甲斐甲斐しく膳を引きよせて、千穂子は姑の口へ子供へするように飯を食べさせてやった。――隆吉は、千穂子より一つ下で世間で云う姉女房であったが、千穂子は小柄なせいか、年よりは若く見えた。実科女学校を出ると、京成電車の柴又の駅で二年ばかり切符売りをしたりした事もある。隆吉にかたづく二十五の年まで浮いた事もなく、年をとっても、てんから子供のようななりふりでいた。

隆吉との夫婦仲は良かった。隆吉は京成電車の車掌をしていたが、それも二三年位のもので、あとはずっと、与平に手伝って、百姓をしたり、土地売買のブロオカアのような事をして暮していた。中学を中途でやめた、気性の荒い男だったが、さっぱりした人好きのされる性質で、千穂子よりは二つ三つ老けて見えた。