Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
うみがよんだはなし
海が呼んだ話
小川 未明
Read 海が呼んだ話 (うみがよんだはなし) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,700 characters · 8 screens
「海の中、どんなだい。美しい? 水の中では、息ができないだろう。」
「舟から、機械で空気を送るんだねえ、おじさん。」
「そうなんだよ。海の中は、明るくて、きれいさあ。」と、おじさんが、答えました。
「どんなに、きれい?」
「そうだな、青白く、ぼうっとして、ちょっと口にはいえないなあ。」
「いろんな魚が泳いでいるの。」
「うん、上の方には、くらげが、傘のような形をして、泳いでいるし、すこし下の岩陰には、たこが腕組みをして、考え込んでいるしな。もっと下の方へいくと、赤い魚だの青い魚だのいろいろのやつが、まるで林の中をくぐるように、藻の間をいったり、きたりしているのだ。」
「ふうん、きれいだな。水族館へいってみたようなんだね。」
「水族館って、まだ見たことがないが、たぶん同じものだろうよ。」
「おじさん、それでも、海よりか、町のほうがいいの?」
「それは、海のほうがいいさ。」
「そんなら、なぜ、町へ越してきたの?」
こう、子供たちが問うと、おじさんは、それには答えずに、ただ、さびしそうに、笑っていました。
勇ちゃんの叔父さんは、年が若く、口数は少なかったけれど、まじめでありましたから、町の人たちもだんだんこの店をひいきにするようになりました。