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かいじょうはつでん
海城発電
泉 鏡花
Read 海城発電 (かいじょうはつでん) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,039 characters · 25 screens
どてッ腹あ蹴破って、このわたを引ずり出して、噛潰して吐出すんだい!」
「そこだ!」と海野は一喝して、はたと卓子を一打せり。かかりし間他の軍夫は、しばしば同情の意を表して、舌者の声を打消すばかり、熱罵を極めて威嚇しつ。
楚歌一身に聚りて集合せる腕力の次第に迫るにも関わらず眉宇一点の懸念なく、いと晴々しき面色にて、渠は春昼寂たる時、無聊に堪えざるもののごとく、片膝を片膝にその片膝を、また片膝に、交る交る投懸けては、その都度靴音を立つるのみ。胸中おのずから閑あるごとし。
蓋し赤十字社の元素たる、博愛のいかなるものなるかを信ずること、渠のごときにあらざるよりは、到底これ保ち得難き度量ならずや。
「そこだ。」と今卓子を打てる百人長は大に決する処ありけむ、屹と看護員に立向いて、
「無神経でも、おい、先刻からこの軍夫の謂うたことは多少耳へ入ったろうな。どうだ、衆目の見る処、貴様は国体のいかんを解さない非義、劣等、怯奴である、国賊である、破廉恥、無気力の人外である。皆が貴様をもって日本人たる資格の無いものと断定したが、どうだ。それでも良心に恥じないか。」
「恥じないです。