Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Read 渡良瀬川 (わたらせがわ) by 大鹿 卓 (おおしかたく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 280,528 characters · 557 screens
また小が大に当るのであるから決するところがある、真剣である。これに反し敵は大をもって小に当るので心に侮がある。そのうえ彼の国を見ると国家思想に乏しくてただ封建的に君主を尊重するにすぎないから、君主その人が賢であるときは国が強いが、一旦君主が凡傭だとなれば士気はふるわない。日本のように上御一人に対して善悪みなこれを敬愛するのとは天壌の差だ。まして今日の支那は人心腐敗して大堕落のときに当り、従って兵式も不備だ。丁度こういうときに、わが長をもって彼の短を討つのだから、その結果は明らかだ」
「まったくそうです。今日ほど一人々々が国家の存亡を考えたことはなかったでしょう。みんな真剣です。それだけに敵愾心もたいへんなものです。この足利などでも無学な連中は実も蓋もなく支那が憎いので、孔子の廟まで祭らぬと騒いでいます」
「戦争の影響は実に思わぬところへ現れてくる。政治家というものは、この下情に注意しなければならぬのだが……支那は大堕落している、結果として敗けるだろう。だが、日本が凱歌を奏したあかつき支離滅裂になったらどういうことになる。しかもその杞憂は十分にある」
正造はまたそういって胸底の憂を語らずにはいられなかった。