Japanese reading practice

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わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Read 渡良瀬川 (わたらせがわ) by 大鹿 卓 (おおしかたく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 280,528 characters · 557 screens

Aozora Bunko

そう思うと、気のゆるみで、未だ嘗て夫の前に見せたことのない涙がおのずから膝へ落ちた。

「実をいうと不用意な不覚なはなしだが、葬式の費用をどうしたものかと、わしはそれを心痛して帰って来た。ところが、来てみると万事ゆき届いてやってくれている。六十三円ばかりの金があるから当座のことは十分間に合いますと、お前からその言葉をきかされたときには、全く心の裡で手を合せた。だがお前はいったいこの費用をどこから工面したのだね。それを聞こうと思いながら、昨日も今日もゆっくり話をする隙もなかったが……。原田か」

原田とは正造の妹の夫で、かねてから隠れた後援者であった。かつ子は火箸で灰をつつきながら、

「定助さんも必要なだけ遠慮なくいってくれ、再三そういってくれましたがお断りしました。またおりん様からも御心付の内談がありましたが、先年お母さんの亡くなられたとき御厄介になっていますから、今度は余分だけはお断りしました」

「では、いったい……」

正造がますます不審顔をするのを、かつ子はチラリと見返して、

「十一年前お父さんが病気になられた頃から、内証で私が心がけていたのです。毎年米六斗ずつ水車場の栄吉さんに預けたのが、十年積んで六石。