Japanese reading practice

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みなとについたくろんぼ

港に着いた黒んぼ

小川 未明

Read 港に着いた黒んぼ (みなとについたくろんぼ) by 小川 未明 (おがわみめい) in Japanese with furigana. JLPT N3. Tap a word for the meaning.

N3 · intermediate · modern kanji and kana · 6,903 characters · 14 screens

Aozora Bunko

娘は、人恥ずかしそうに低い声でうたっていました。その唄は、なんという唄であるか、あまり声が低いので聞きとることは、みんなにできなかったけれど、ただ、その唄をきいていると、心は遠い、かなたの空を馳せ、また、さびしい風の吹く、深い森林を彷徨っているように頼りなさと、悲しさを感じたのであります。

人々は、この姉と弟が、毎日どこから、ここにやってきて、こうして唄をうたい、笛を吹いてお金をもらっているのか知りませんでした。それは、どこにもこんな哀れな、美しい、またやさしい、乞食を見たことがなかったからであります。

この二人は、まったく親もなければ、他に頼るものもなかった。この広い世界に、二人は両親に残されて、こうしていろいろとつらいめをみなければならなかったが、中にも弱々しい、盲目の弟は、ただ姉を命とも、綱とも、頼らなければならなかったのです。やさしい姉は、不幸な弟を心から憫れみました。自分の命に換えても、弟のために尽くそうと思いました。この二人は、この世にも珍しい仲のよい姉弟でありました。

弟は、生まれつき笛が上手で、姉は、生まれつき声のいいところから、二人は、ついにこの港に近い、広場にきて、いつごろからともなく笛を吹き、唄をうたって、そこに集まる人々にこれを聞かせることになったのです。