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ゆなのたましい

湯女の魂

泉 鏡花

Read 湯女の魂 (ゆなのたましい) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,936 characters · 55 screens

Aozora Bunko

土間が冷く踵に障ったと申しますると、早や小宮山の顔色蒼然!

話に聴いた、青色のその燈火、その台、その荒筵、その四辺の物の気勢。

お雪は台の向へしどけなく、崩折れて仆れていたのでありまする。女は台の一方へ、この形なしの江戸ッ児を差置いて、一方へお雪を仆した真中へぬッくと立ち、袖短な着物の真白な腕を、筵の上へ長く差し伸して、ざくりと釘を一ト掴。

「どうだね、お客様。」

「どう致しまして。」

小宮山は慇懃に辞退をいたしまする。

十七

「これを知っていなさるかえ。」

と二の腕を曲げて、件の釘を乳の辺へ齎して、掌を拡げて据えた。

「どう致しまして。」

「知らない?」

「いえ、何、存じております。」

「それじゃこれは。」

「へい。」

「女の脱髪。」

小宮山は慌しく、

「どう致しまして。」

「それじゃ御覧。」

と撮んで宙で下げたから、そそげた黒髪がさらさらと動きました。

「いえ、何、存じております。」

「これは。」

「存じております。」

「それから。」

「存じております。」

「それでは、何の用に立つんだか、使い方を知っているのかえ。」

迂濶知らないなぞと言おうものなら、使い方を見せようと、この可恐しい魔法の道具を振廻されては大変と、小宮山は逸早く、