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ゆなのたましい
湯女の魂
泉 鏡花
Read 湯女の魂 (ゆなのたましい) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,936 characters · 55 screens
四
鮎の大きいのは越中の自慢でありますが、もはや落鮎になっておりますけれども、放生津の鱈や、氷見の鯖より優でありまするから、魚田に致させまして、吸物は湯山の初茸、後は玉子焼か何かで、一銚子つけさせまして、杯洗の水を切るのが最初。
「姉さん、お前に一つ。」
などと申しまする時分には、小宮山も微酔機嫌、向うについておりますのは、目指すお雪ではなくて、初霜とや謂わむ。薄く塗った感心に襟脚の太くない、二十歳ばかりの、愛嬌たっぷりの女で、二つ三つは行ける口、四方山の話も機む処から、小宮山も興に入り、思わず三四合を傾けまする。
後の花が遠州で、前の花が池の坊に座を構え、小宮山は古流という身で、くの字になり、ちょいと杯を差置きましたが、
「姉さん、新らしく尋ねるまでもないが、ここはたしか柏屋だね。」
「はい、さようでございますよ。」
「柏屋だとするとその何、姉さんが一人ある筈だね。」
「皆で四人。」
「四人? 成程四人かね。」
「お喜代さん、お美津さん、お雪さんに私でございます。」
「何、お雪さんと云うのが居る?」
と小宮山は、金の脈を掘当てましたな、かねての話が事実となったのでありますから、漫に勇んだので乗出しようが尋常事でありませんから、