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ひとこおりのシャスタさん
火と氷のシャスタ山
小島 烏水
Read 火と氷のシャスタ山 (ひとこおりのシャスタさん) by 小島 烏水 (こじまうすい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,333 characters · 16 screens
絶頂の火口は、今こそ休火山ではあるが、烈々と美を噴く熔炉になっている。その美の泉を結晶したものは、絶頂から胸壁へと、こびりついているところの、氷河である。汽車の窓からも、その中の最大(といっても長さは二哩半位しかないが)のホイットニイ氷河が、銀流しに光っているのが見える。そうして鉄路の附近に、氷河湖の跡が乾からびて、今は青草の生えた牧場になって、牛が遊んでいる。その辺の農家の石垣は、氷河の推し流した堆石を使ったりしているのが、私たち富士山で、万年雪を物色したり、日本アルプスで、「カアル」の痕を、氷河時代の遺蹟か否かと、論じ合ったりしている手合いに、いかに珍しかったろうか。
その氷河で思い出したが、私が桑港にいるとき、一九二四年九月十八日の夕、新聞の号外売りが、声高く「ラッセン火山大爆裂、シャスタ氷河大融解」と、大の字尽くしで呼んでいるので、耳寄りに思って買って見ると、いかにもシャスタ山の、氷河融解、大洪水来と、拳大の活字で見出しがついている。それは同日附け、ダンスミールからの電報で、「シャスタの南東頂上が欠損してマック・クラウド谷が吹き飛ばされ、谷の痕跡が、一筋も残らない」