Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
Read 火星兵団 (かせいへいだん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 307,889 characters · 618 screens
春なおあさい掛矢温泉の岩にかこまれた浴槽の中に、新田先生は体をのびのびと伸ばして、はや二、三日を送った。
温泉のききめは早い。先生の体から、病後の疲れが見る見る去っていって、頬にもくれないの色がさして来た。
「ああ、ありがたいことだ」
先生は浴槽から上って、手ぬぐいをぶらさげたまま、部屋に帰って来た。
すると、その後からこの旅館の老主人弓形氏が、お茶とお菓子とを持ってはいって来た。
「温泉はいかがでございましたかな、新田先生」
「ああ、ありがとう。今日はまたかくべつないい入り心地でしたよ」
「それは、けっこうでした。まあお茶でも入れましょう」
老主人は鉄びんの湯をきゅうすについで、手を膝においた。
「御主人に、この前からうかがおうと思っていたのですが……」
と言いながら、新田先生は、ぬれ手ぬぐいを欄干にかけて、自分の席へ戻って来た。
「はあ、どのようなことで……」
「ゆうべも見えましたがね、温泉につかりながら、真暗な山を見上げていると、こっちの方向にある山の上の方に、ちろちろとうす赤い火が見えたり消えたりするんだが、あれは一体、何ですかね」
「はあ、あの火を、ごらんになったのかね」