Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
かやくせん
火薬船
海野 十三
Read 火薬船 (かやくせん) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 61,552 characters · 124 screens
いやなところを、船長ノルマンはうつしたものだ。これはどうやら、平靖号が、岸少尉の指揮する臨検隊を迎えたときの光景ではあるまいか。なぜノルマンは、こんなところを、映画にとっておいたのか、ふしぎでならない。
すると、画面は一変して、甲板の大うつしとなった。また更に倍率の大きいレンズを、つぎ足したものとみえる。
甲板に整列している乗組員は、いずれも見覚えのある同志ばかりだった。両脚のない虎船長が、船員にかかえられて甲板に姿をあらわした。すると、画面に岸少尉が出てきた。つかつかと虎船長のところへ寄ると、しっかと握手をして、つよくふった。感激に虎船長の顔が歪んだようになるところまでが、いやにはっきり画面に出てきた。
画面は、それから下方に動いて、岸少尉一行がボートへ乗りうつるところがうつり、それから画面はまた甲板にもどって、虎船長の感激のなみだにぬれた顔やら、幹部の万歳をとなえて手をあげるところや、はては水夫竹見のすがたまでがうつったものであるから、竹見はもうびっくりしてしまった。
「ふふふふ、どうだ、この映画は、さぞ貴様の気に入ったろう」
「うむ――」
船長ノルマンの皮肉な台詞にたいして、竹見は目を白黒するより外なかった。