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ばくやくのはなかご
爆薬の花籠
海野 十三
Read 爆薬の花籠 (ばくやくのはなかご) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 101,908 characters · 204 screens
どうだ。これでも知らないと白ばっくれるか」
「おどろいたでたらめをいう人だ」
「とにかくお気の毒さまだ。こっちはそれとかんづいたから、おれが死んだと見せるために、かねて用意の血のはいった袋の口をあけて、おれの席のまわりを血だらけにしてやった。それからおれはすぐ花籠をつかんで甲板に出て、それを海の中へ捨てたとたんに、どかンと爆発よ。おれは無事だったが、かわいそうにおれのあとを追ってきた松ヶ谷団長と船員がひとり、ひどい傷をうけたよ。お前たちはおどろいて、暗闇の中で松ヶ谷団長を更になぐりつけ、死にそうになったやつを石炭庫へかくした」
師父ターネフは、ほんとうにおどろいたか、もう口がきけなかった。
「あははは、ターネフ首領。この汽船は、もうあと四、五分で沈みますよ。取引は、早い方がいい。信号をさせてもいいが、あなたがポケットに持っている重要書類を、そっくりこっちへ渡してもらいましょう」
「なに、重要書類。そ、そんなものを持っておらん」
「おい、ターネフ首領。お前さんは、ものわかりのわるい人だねえ」
と、トラ十は、はきだすようにいって、
「あの重要書類のことを、おれが、知らないと思うのかね。