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うしをつないだつばきのき
牛をつないだ椿の木
Read 牛をつないだ椿の木 (うしをつないだつばきのき) by Niimi Nankichi (新美 南吉) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,096 characters · 19 screens
しかしお客よりさきに、茶店のおかみさんが、焼きたてのほかほかの大餡巻をつくってあらわれました。
人力曳きたちは、大よろこびで、一本ずつとりました。海蔵さんもがまんできなくなって、手が少しうごきだしましたが、やっとのことでおさえました。
「海蔵さ、どうしたじゃ。一銭もつかわんで、ごっそりためておいて、大きな倉でもたてるつもりかや。」
と、源さんがいいました。
海蔵さんは苦しそうに笑って、外へ出てゆきました。そして、溝のふちで、かやつり草を折って、蛙をつっていました。
海蔵さんの胸の中には、拳骨のように固い決心があったのです。今までお菓子につかったお金を、これからは使わずにためておいて、しんたのむねの下に、人々のための井戸を掘ろうというのでありました。
海蔵さんは、腹も歯もいたくありませんでした。のどから手が出るほど、お菓子はたべたかったのでした。しかし、井戸をつくるために、今までの習慣をあらためたのでありました。
五
それから二年たちました。
牛が葉をたべてしまった椿にも、花が三つ四つ咲いたじぶんの或る日、海蔵さんは半田の町に住んでいる地主の家へやっていきました。