Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Read 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) by 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 54,018 characters · 109 screens
又たお源は磯さんはイザとなれば随分人の出来ない思きった大胆なことをする男だと頼もしがっている。けれどそうばかし思えんこともある。その実案外意久地のない男かしらと思う場合もあるが、それは一文なしになって困り抜た時などで、そう思うと情なくなるからなるべくそれは自分で打消していたのである。
実際磯吉は所謂る「解らん男」で、大庭の女連は何となく薄気味悪く思っていた。だからお徳までが磯には憚る風がある。これがお源には言うに言われない得意なので、お徳がこの風を見せた時、お清が磯に丁寧な言葉を使った時など嬉さが込上げて来るのであった。
それで結極のべつ貧乏の仕飽をして、働き盛りでありながら世帯らしい世帯も持たず、何時も物置か古倉の隅のような所ばかりに住んでいる、従ってお源も何時しか植木屋の女房連から解らん女だ、つまり馬鹿だとせられていたのだ。
磯吉の食事が済むとお源は笊を持て駈出して出たが、やがて量炭を買て来て、火を起しながら今日お徳と木戸のことで言いあったこと、旦那が木戸を見て言った言葉などをべらべら喋舌て聞かしたが、磯は「そうか」とも言わなかった。
そのうち磯が眠そうに大欠伸をしたので、お源は垢染た煎餅布団を一枚敷いて一枚被けて二人一緒に一個身体のようになって首を縮めて寝て了った。