Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Read 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 105,794 characters · 211 screens
筒井は青い下帯を彼にいつも永くしめてくれるようにいい、見れば筒井がはじめての夜にといた匂やかな青い下帯だった。永い五年のあいだについぞ見かけたこともなく、大切にしまって置いたものらしかった。彼は秘蔵の品に手をふれるように青い下帯を撫でさすりながら、珍らしい物をいままで蔵って置いたものだといった。
「何となく蔵っておいたのでございます。お別れのかたみになるなぞとは、つゆ覚えませぬのに。」
「我ら何も遣わすものもない。」
彼は立ってみ仏のおわす扉をひらいて、小さい唐渡りの釈迦仏を一体取り出した。それは耳の中にでも、しまい込まれるほどの小さい御姿をうつしたものだった。黄金でつくられた、彼の一つの高貴な宝物にぞくすべきものであった。
「父からのかたみでこれだけは残しておいたもの、再た会う日に返してくれればいい、我らのかたみにしまっておいてくれ。」
「これはあまりにわたくしごときものには勿体のうございます。」
「いや、我らが持っていてはどうなるみ仏の行末であるか分らぬ、そなたならそんな不束はあるまい。」
「ではおあずかり申します。これは何とお美しいお顔にございましょう。