Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Read 猿飛佐助 (さるとびさすけ) by 織田 作之助 (おださくのすけ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 30,413 characters · 60 screens
あはは……」
と、笑うと、入道は人の善さそうな眼をパチパチさせて呆れながら、
「相変らずペラペラとよく喋る奴だ。が、その位の元気があれば、大丈夫だ」
そして、急に声を改めると、
「――ところで、些か変なことを訊くようだが、貴公、忍術のほかには何も出来ぬのか」
「風邪をひくことも出来る。ごらんの通りよ」
済まして言うと、入道はあわてて手を振って、
「いや、そう茶化しては困る。えーと、例えばだ、歌を読むとか、作るとか、そういうことは出来るのか」
すると、佐助は急に床の上に坐り込んで、
「何? もう一ぺん言ってみろ。出来ぬのかとは、何事だ。人生百般――と、敢えて大きく出ぬまでも、凡そ人間の成すべきことにして、不正、不義、傲慢のこの三つを除いたありとあらゆる中で、この佐助に能わぬことが、耳かきですくう程もあれば言ってみろ!」
「まア、そう怒るな。じゃ、出来るのか」
「憚りながら、猿飛佐助、十八歳の大晦日より二十四歳の秋まで、鳥居峠に籠っていた凡そ六年の間、万葉はもとより、古今、後撰、拾遺の三代集に、後拾遺、金葉、詞花、千載、新古今の五つを加えて、世にいう八代集をはじめ、源実朝卿の金槐集、西行坊主の山家集、まった吉野朝三代の新葉集にいたるまで、凡そ歌の書にして、ひもどかざるは一つも無かったのみか、徒然なるままに、かつは読み、かつ