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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Read 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 91,598 characters · 182 screens
内から閂をかったが最後、外からは開かない扉であった。火をかけて焼いて焼き切るより、開く手段はない扉であった。
しかし郷民達は躊躇した。
(浪江殿は教主覚明殿の、一人娘ごであられるし、茅野雄殿は教主覚明殿の、一人の甥ごであられるのだから、扉を焼き切って洞窟内へ乱入してお二人を討ち取ることは、覚明殿に対してどうだろう?)
で、郷民達は躊躇した。
しかしその時郷民達に雑って、歯を食いしばり地団駄を踏み、洞窟の扉を睨みつけていた宮川覚明が、長髪を揺すり、狂信者にありがちの兇暴性を現わし、こう吼えるように怒号した。
「かまわないから火をかけろ! 扉を焼き切って乱入しろ! 茅野雄と浪江とが奥の院の、内陣にまで行きつかないうちに、追い付いて討って取るがよい! 洞窟内には関門がある! いくつとなく関門がある。厳重に番人が守ってもいる! 容易に破って行くことは出来ない。そこが我々の付け目とも云える! 二人を内陣へ行かせてはいけない! どうしても途中で討って取らなければいけない! ……娘でもない甥でもない! 我々に取っては教法の敵だ! 教法の敵の運命は、自ら一つに定まっている! 刃を頭上に受けることだ! ……さあやっつけろ! 火をかけろ!」