Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Read 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 91,598 characters · 182 screens
――で、無二無三に引ったくろうとする。
「私こそお願いいたします、どうぞ旦那様お許しなすって! 包物はお渡しいたしません。奥様のお云い付けでございますもの。……持って参らなければなりません! はい、奥様のお云い付けの所へ!」
京助は京助でこう喚きながら、胸に抱いている包物を、どうともして取られまい取られまいとして、勘右衛門と捻じ合いひしめき合うのであった。
京助としては当然と云えよう。
こんなように京助には思ったのであるから。――
(こうも旦那が執念深く、奪い返そうとしているからには、小さいけれど包物の中には、素晴らしく大切な値打ちのある物が、入っているに相違ない。そうしてそれは奥様にとっては、一大事な物に相違ない。ひょっとかすると秘密の物かもしれない。もしも旦那に取り返されようものなら、奥様は絶望をして病気になって、京助や京助やとご機嫌よく、私を呼んでくださらないかもしれない。で、どのように頑張っても、旦那に包物は渡されない)
――で、喚きを上げながら、勘右衛門と捻じ合いひしめき合うのであった。
いかにひっそりとした町とは云っても、大家の旦那とも思われる、非常に立派な老人と、大店の手代とも思われる、綺麗なお洒落の若い男とが、衣紋を崩して喚き声を上げて、往来の中央で人目も恥じないで、一つの包物を取ろう取ら