Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Read 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) by 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 27,957 characters · 57 screens
それから彼はふと煽風器の方へ眼を留めた。
「なるほどいい風が来ますね。だが、どうも生温い風ですね旦那。この風を冷たくする工夫はつかねえものですかね。」
「そうだね。」
田原さんは気の無さそうな返事をした。そして紙巻煙草を一本取ってそれに火をつけ、また一本徳蔵にも取ってやった。
「今日は造兵の方は休みなのか。」と田原さんは別のことを云った。
「なに一寸骨休めですよ。あの仕事も随分骨が折れますよ。働きづめで、一服する隙もありませんからね。」
「それは骨も折れるだろうが、そう休んでいてはみよ子が困りはしないかね。」
「なあに、大丈夫でさあ。その代りよく可愛がってやりますんだ。あれも不憫な奴ですからね。よく膝の上に抱っこして子守唄をうたってやりますよ。するとね、眠ろうとはしないで、噴き出してしまうんです。私もね、一緒になって笑うんです。何しろもう十二になるんですからね。然し悧口ですよ。私が造兵から帰って来て寝ようとすると、肩を揉んでくれますよ。」
「然しよく怒鳴りつけることもあるんだろう。」
「それはね、ただ酒がねえ時でさあ。然し不思議なもんですよ。酒が無くって怒鳴り散らすと、丁度酒を飲んだような気持ちになりますんだ。