Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
いなかふうなヒューモレスク
田舎風なヒューモレスク
宮本 百合子
Read 田舎風なヒューモレスク (いなかふうなヒューモレスク) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 7,790 characters · 16 screens
放ってはおけない。――勘助は井戸水をくみ上げながら、いやはやと思った。これは、大火事より都合がわるい。見物は、だらしなく、ワアハハハと笑うきりで手助けはしないし、火より先にけんかをやめさせる必要がある。勇吉夫婦は、ところが、名うての豪の者ではないか!
勘助は、馬さんと大手おけに水をくんでゆくと、いきなり、ざぶりと、燃える障子にぶちまけた。火はあらまし消え、くすぶり、その辺はみじめな有様だ。
「さあ、もうよさっせ、ええ物笑いだ」
勘助は、そういったきりだ。炉辺に坐りこみ、わが家にいるように、乱胸を片づけ出した。勇吉は、立ちはだかって、勘助を見ていたがやがて、
「何でえ、何しくさるでえ」
とつめよせて来た。
「畜生! うせあがれ! われの家われと焼くが何でえけねえ、どかねえと打っ殺すぞ」
馬さんその他上って来て、種々仲裁したが、勇吉はなかなかきかない。
「おらあ、火いつけりゃあ牢にへえる位知ってるだ! ああ知ってするごんだよ、だから放っといてくんろ、畜生! 面白くもねえ、ええい!」
強力だから、あばれると一寸相手がない。人々を振りほどいてまた、粗朶火をふり廻す。