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こうしゅうちんぶたい
甲州鎮撫隊
国枝 史郎
Read 甲州鎮撫隊 (こうしゅうちんぶたい) by 国枝 史郎 (くにえだしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,891 characters · 28 screens
「悪いか」
「物には順序ってものがあるよ」
「惚れるにもか」
「何んだって!」
「お前の身分は何なんだい」
「長州の桂小五郎様に頼まれた……」
「隠密だろう」
「あい」
「そこで細木永之丞へ取入った」
「新選組の奴等の様子さぐるためにさ」
「ところが永之丞にオッ惚れやがった」
「莫迦お云い。……彼奴の口から新選組の内情聞いたばかりさ……池田屋の斬込へも、彼奴だけは行かせなかったよ」
「手柄なものか。……彼奴の方でも手前にオッ惚れて、ウダウダしていて、機会を誤ったというだけさ」
「そのため永之丞さん斬られたじゃないか。……新選組の奴等を一人でも減らしたなア妾の手柄さ」
「ところが手前、今度は永之丞を斬った沖田総司を殺すんだと云い出した」
「池田屋で人一倍長州のお武士さんを斬った総司、こいつを討ったら百両の褒美だと……」
「懸賞の金を目宛てにして、総司を討ちにかかったというのかい。体裁のいいことを云うな。そいつア俺の云うことだ。手前は、可愛い永之丞の敵を討とうと、それで総司を討ちにかかったのさ。……そんなことは何うでもいいとして、その手前が何処がよくて惚れたのか、総司に惚れて、討つは愚、介抱にかかっているからにゃア、埒があかねえ。