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くだらかんのんとゆめどのかんのんとちゅうぐうじみろく
百済観音と夢殿観音と中宮寺弥勒
野間 清六
Read 百済観音と夢殿観音と中宮寺弥勒 (くだらかんのんとゆめどのかんのんとちゅうぐうじみろく) by 野間 清六 (のませいろく) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,381 characters · 7 screens
法隆寺の金堂が再建されたものと見れば、その天蓋もその時の製作と考えられ、自然この夢殿観音像の作成の年もある程度推測され、時代は意外に下っていることが知られる。
中宮寺の弥勒像もまた飛鳥彫刻の名作として、多くの人に親しまれている。しかしこれは百済観音や夢殿観音よりも、更に白鳳的感覚の成熟を示すものと言えよう。成熟というのには少し語弊があるかも知れぬ。それはむしろ白鳳感覚の末期的性格を示しているものと言うべきかも知れぬ。飛鳥の明瞭性は百済観音や夢殿観音ではまだ残っていたが、この像では殆ど消え去ろうとしている。明瞭感は輪廓を単純化することによって表わされる。この像の顔や胴や手足の肉付けに、実在的な微妙な起伏を見るのは、写実的なものへの接近を示している。
言い換えるならば、明瞭性からの離脱に外ならない。それはその目の特色のある表現に見られる。もうこれは杏仁形の目ではない。眼瞼がどこにあるかわからない。眼球の柔かな隆起があるだけで、その陰影がこの像の世にも類いない慈顔温容となっているのである。この眼の表現法は野中寺の弥勒菩薩像にも見られる。また衣の襞の表わし方も、細い線状的印象を与える直角的な彫痕から、なだらかな円味を持つ隆起へと変っている。