Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

いしかりがわ

石狩川

本庄 陸男

Read 石狩川 (いしかりがわ) by 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 253,535 characters · 506 screens

Aozora Bunko

愚かな努力に精根をすり減らしているとしか見えなかった。

これ以上見棄てて置くことは出来ない。殿をこのようなお気の毒な立場に置くことは、家臣の道を外れると云うべきであろう。武士の気持は、同藩のもののこんな難儀を見ていることは許さない。お館にまいった彼らの顔色には、おのずからその思いが現われていた。殿のお目通りを待つ間、座敷に通った彼らの口からは、自然にそこに溜って、期せずして、同じ考えが衝いて出た。

「お話は早いがよい」と篠崎彦助は云った。額のしわを深くよせて、一座のものを下から見あげるようにした。こういうふうにまッ先に口をきる自分の心境を、彼は低いこえで縷々と述べはじめた。

「ご存じよりの方もござりましょう、玉目三郎というのが身どもの婿でして、蝦夷渡りの一党のなかに加わっておりました。なれど、さて、その後は何と致したものか、今回も消息に接しませず、心外に堪えませぬのでのう」

「神山どのはまだか」と誰かが云った。

「拙者、見てまいりましょう」と一人が腰をあげた。

「ほう――吉原どのか」と篠崎は歯のない口をもぐもぐさせて、うんうんと頷きながら、立っている若い男を見あげて云った、「たのみましょうぞ、貴殿に――こういうことは、逡巡いたしておれば得てして邪魔がはいるもの、兵は迅速をとうとしとなしますでのう」