Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんけい

神経

織田 作之助

Read 神経 (しんけい) by 織田 作之助 (おださくのすけ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 13,754 characters · 28 screens

Aozora Bunko

焼けた大阪劇場も内部を修理して、もう元通りの映画とレヴュが掛っていた。常盤座ももう焼けた小屋とは見えず、元の姿にかえって吉本の興行が掛っていた。

その常盤座の前まで、正月の千日前らしい雑閙に押されて来ると、またもや呼び停められた。

見れば、常盤座の向いのバラックから「千日堂」のお内儀さんがゲラゲラ笑いながら私を招いているのだった。

「やア、あんたとこも……」

帰って来たのかとはいって行くと、

「素通りする人がおますかいな。あんたはノッポやさかい、すぐ見つかる」

首だけ人ごみの中から飛び出ているからと、「千日堂」のお内儀さんは昔から笑い上戸だった。

「あはは……。ぜんざい屋になったね」

「一杯五円、甘おまっせ。食べて行っとくれやす」

「よっしゃ」

「どないだ、おいしおますか。よそと較べてどないだ? 一杯五円で値打おますか」

「ある。甘いよ」

しかし砂糖の味ではなかった。そのことをいうと、

「ズルチンつこてまんねン。五円で砂糖つこたら引き合えまへん。こんなちっちゃな餅でも一個八十銭つきまっさかいな。小豆も百二十円になりました」

京都の闇市場では一杯十円であった。

「あんたとこは昔から五割安だからね」