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あきのつくばさん
秋の筑波山
大町 桂月
Read 秋の筑波山 (あきのつくばさん) by 大町 桂月 (おおまちけいげつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,470 characters · 9 screens
名文空しく万古に存す。
当年の関城主は誰ぞや。関宗祐、宗政父子也。延元三年、親房は宗良親王を奉じて東下せしに、颶風に遭ひて、一行の船四散し、親房は常陸に漂着し、ひと先づ小田城に入る。然るに城主小田治久賊に心を寄せければ、関城に移れり。宗祐は無二の忠臣也。親房を奉じて忠節を尽せり。当時、関東は幾んどすべて賊に附して、結城親朝さへ心を飜しぬ。唯々宗祐の関城を根拠として、伊佐城主の伊達行親、真壁城主の真壁幹重、大宝城主の下妻政泰、駒城主の中御門実寛だけが南朝に属せしが、興国四年十一月、高師冬大挙して来り攻むるに及び、大宝城陥りて政泰討死し、関城も陥りて宗祐父子討死し、親房は吉野に走れり。これより関東全く北朝に帰するに至りぬ。
大宝沼の北端、三方水に囲まれたる丘上は、これ関城の趾也。沼に臨みて宗祐父子の墓あり。関城の碑も立てり。大宝沼は城趾の両側を挟さんで、遠く南に延び、その尽くる処を知らず、東の方二三里を隔てて、筑波の積翠を天半に仰ぐ。風光の美、既に人をして去る能はざらしむるに、忠魂長く留まれる処、山河更に威霊を添ふるを覚ゆ。茫々五百年、恩讐両つながら存せず。