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ほだかだけやりがたけじゅうそうき
穂高岳槍ヶ岳縦走記
鵜殿 正雄
Read 穂高岳槍ヶ岳縦走記 (ほだかだけやりがたけじゅうそうき) by 鵜殿 正雄 (うどのまさお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,443 characters · 17 screens
並んでいるようだ。次ぎは、昨日通った、南穂高・奥穂高・北穂高と鮮かにそれと仰がれる。その北穂高の東北に接し、槍と同形の峰が二百尺ばかりも屹立っている、小槍とでもいいたい、が穂高の所属だから、剣ヶ峰というておく。忘れていた晴雨計を見ると、約二千六百五十米突、華氏五十六度。
七 東穂高岳
六時、朝食を済し、右手の磧につき、最近の鞍部目的に登る、僅か十町つい目先きのようだ、が険しくて隙取れ、一時間ばかりかかった。昨日で辟易した幔幕、またぞろ行く手を遮る、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいいつつ、右に折れ、巉岩にて築き上げた怪峰二、三をすぎ、八時、標高三千十四米突の一峰に攀じて腰を据える。位置は信飛の界、主峰奥岳の東北に当る、が東穂高岳と命名しよう。
霧が少しくはげて来たので、北方の大渓谷を隔って、遥か向いの三角点が見えて来た。左折して、四十度以上の傾斜地を斜めに、西北にとり、低き山稜に出ると、巉岩や偃松で織りなされた美景が正面にくる。南方数十歩には、天工の鉞で削ったような、極めて堅緻の巨岩が、底知れずの深壑から、何百尺だかわからなく、屹立している。