Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
くうしゅうけいほう
空襲警報
海野 十三
Read 空襲警報 (くうしゅうけいほう) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 45,838 characters · 92 screens
「ナ、ナ、ナ、ナーンだ。帝都から逃げ出す卑怯者が、そんなに沢山いるのか。それは日本人か」
と、鍛冶屋の大将は、真赤になって怒りだした。
「それがね。めいめい大きな荷物をしょいこんで、押合いへし合いなんです。女子供が泣き叫ぶ、わめく、怒鳴る、その物凄いことといったら……」
「憲兵や、警官はいないのか」
「いるんでしょうけれど、とてもあの群衆は抑えきれませんよ。……それで思うんですが、避難するなら早くやらないといけない。ぐずぐずしていると避難民はますますふえてきて、列車に乗れなくなりますよ。……全く帝都にいるのは危険だ」
「ほう……」
と分団長は驚きの色をあらわし、
「そんなことが始まるかもしれないと思っていたが……」
敵機いよいよ迫る
「貴様は……」
鍛冶屋の大将は憤然として、清さんの胸ぐらをとった。
「キ、貴様は逃げる気か。逃げたいのか。空襲をうけようとする帝都を捨てて逃げるのか!」
「あッ、苦しいッ、ハハ放せッ。……俺は逃げないが、弱い家族は逃がしたい……」
「ば、ばかッ!」
鍛冶屋の大将は、清さんを突きとばした。彼はヨロヨロとなり椅子につきあたると、ドーンとひっくりかえった。