Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Read 第二の接吻 (だいにのせっぷん) by 菊池 寛 (きくちかん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 121,960 characters · 247 screens
京子の一顰一笑に、彼女の幸福や不幸が宿っているのだった。京子の機嫌の悪いときは、彼女の生活は暗くなってしまうのだった。
倭文子が、もっと図々しくもっと世間を知っていたならば、京子の機嫌を取りむすぶくらいは何でもなかったのだろう。彼女が、もっと強い女であったならば、京子と不即不離に生きて行けたのだろう。だが、初心で温良で策も術もない彼女は、京子の強い光の中で手も足も出さず、ただおずおずと暮しているのだろう。京子が、あの程度に機嫌を損じていることは、倭文子の生活に対してどれほどの脅威かわからないのだろう。これから先の何日か陰に陽に、あたり散らされることを考えると、倭文子はつい涙ぐまずにはいられないのだろう。
馬鹿馬鹿しいが、今の倭文子にとっては、それが重大な生活問題なのだろう。
そう考えて来ると、村川は倭文子の心持が、いじらしくてたまらなかった。彼は、出来るだけのことをして、倭文子をかばってやろうと思った。
「京子さんに僕がよくいっておきましょう。怒らないように。」
「まあ! いいえ。」
倭文子は、自分の心持を見透かされたのが、いやだったのだろう。あわてて打ち消した。