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「ぞくスウィスにっき」はっくつのしまつ
「続スウィス日記」発掘の始末
小島 烏水
Read 「続スウィス日記」発掘の始末 (「ぞくスウィスにっき」はっくつのしまつ) by 小島 烏水 (こじまうすい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,557 characters · 10 screens
の記事(大正三年九月二十八日)にあらわれたが、今ならスウィス発電というところを、二ヶ月も後になって、高野氏宛の郵便から『朝日』に特種となって、漸く現われた次第で、所謂スピード時代の今日から見ると、今昔の感がある。
近藤茂吉氏は、遭難当時の同行者であられたのみならず、辻村一家全滅の後、わざわざ、スウィスにローザ夫人の父君を訪ねられ、互いに故人を語り合い、手を把り合って、泣かれたそうであるが、かほどまでに温情の親友を、生前に有した辻村は、幸福の男でなかったとは言われなかろう、幸福といえば、『スウィス日記』再刊に関して、前出版者横山光太郎氏が、二言と言わず複刻を無条件に快諾せられたばかりか、非常にそれを悦んで下すったこと、藤島敏男、松方三郎両氏が「見ぬ世の俤」なる辻村のために、綿密に校正の労を取っていただいたことも、仕合せであった、又梓書房が、挿入写真版の複製に当って、それこそ、芸術的良心を以て、苦心惨憺せられたことも、『スウィス日記』の原本に比して、見劣りのないものに出来上った所以である。
辻村遭難、及び遺稿発掘当時の状況は、静かなる夏の一夜、常助氏の邸宅で、辻村の彫像(高田博厚氏作)の下に、常助氏、同夫人、及び高野氏とのまどいに、しめやかな物語をうかがって、書き附けて置いた