Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Read 自由人 (じゆうじん) by 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 69,030 characters · 139 screens

Aozora Bunko

社長佐竹次郎の好みで、春秋の彼岸の期間に、年二回なされるのである。

今年の春には、料亭閉鎖と人員との関係上、上野の精養軒でお茶の会ということになった。茶菓は精養軒で出して貰い、折詰の料理と豊富な酒類はよそから搬入された。印刷や執筆の方面からは、目ぼしい人々は出席せず、ただ雑然たる集合に過ぎなかった。――それが済んで、夕刻、社内の主な人々を中心に、謂わば社長の側近の人々だけ、十五名ばかり、不忍池に臨んだ焼け残りの料理屋で、二次会をやった。

その中に、田島章吾がはいっていた。彼が天元社への大出資者であることを知ってる者は、社長以外には二三人に過ぎないし、それも田島自身の希望で秘密にされていた。それ故、はたから見れば、彼の存在は聊か場違いの感じがあって、知人も少なく、ただ社長のそばに笑顔で控えてるだけだった。ところが、二次会の料理屋では、顔が、利いてるらしいし、社長をさしおいて何かと指図がましく振舞い、女中風には装ってるがそれと分る芸妓をも四人ほど侍らした。一座が少し白けかけると、彼は隠し芸を提案した。――東京出身者も地方出身者もそれぞれ、郷土の民謡を一つ唄うことにしたい。