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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Read 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) by 永井 荷風 (ながいかふう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 52,046 characters · 104 screens
その中先の師匠に泣きを入れて、どうにかするから、もう暫くの中辛棒してくれ。」と毎夜山の手の色町を流している中風邪を引込んでどっと寝ついてしまいました。ここでいよいよ切破つまって、泣きの涙でお君を手放す。お君は須賀町の周旋屋から芳町の房花家へ小園と名乗って二度とる褄。前借はほんの当座の衣裳代だけで、四分六の稼ぎという話だったが、病気が直ってから、会いに行って見ると大きな違いで、前借は分で七百円。しかもその金の行衛は、一体どうなったんだときいて見ても、女の返事はあいまいで判然としない。わたしは内心ここ等があきらめ時だ。長くこんな女と腐れ合っていちゃア到底うだつが上がらないと思いながら、どうもまだ未練が残っています。新橋の女からはその頃詫びの手紙が届いていながら、此方は落目になっているだけ、フム、人を安く見やアがるな。男地獄じゃねえ。さんざッぱら恥をかかして置きやがって、今更腹にもない悪体をついたもよく言えたもんだ。それ程おれが可愛けりゃ小色の一人や二人大目に見て置くがいい。姉さんぶった面は真平御免だと、ますますひがみ根性の痩我慢。どうかしてもう一度お君を素人にして見せつけてやりたいと意地張った気になります。