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くさめいきゅう

草迷宮

泉 鏡花

Read 草迷宮 (くさめいきゅう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 71,733 characters · 142 screens

Aozora Bunko

(秋谷邸の細道じゃ、

誰方が見えても……)

でござりましょう。人足が絶えるとなれば、草が生えるばっかりじゃ。ハテ黒門の別宅は是非に及ばぬ。秋谷邸の本家だけは、人足が絶やしとうないものを、どうした時節か知らぬけれど、鶴谷の寿命が来たのか、と喜十郎様は、かさねがさねおつむりが真白で。おふくろ様も好いお方、おいとしい事でござります。

おお、おお、つい長話になりまして、そちこち刻限、ああ、可厭な芋※の葉が、唄うて歩行く時分になりました。」

と姥は四辺をした。浪の色が蒼くなった。

寂然として、果は目を瞑って聞入った旅僧は、夢ならぬ顔を上げて、葭簀から街道の前後を視めたが、日脚を仰ぐまでもない。

「身に染む話に聞惚れて、人通りがもう影法師じゃ。世の中には種々な事がある。お婆さん、お庇で沢山学問をした、難有う、どれ……」

十五

「そして、御坊様は、これからどこまで行かっしゃりますよ。」

包を引寄せる旅僧に連れて、姥も腰を上げて尋ねると、

「鎌倉は通越して、藤沢まで今日の内に出ようという考えだったが、もう、これじゃ葉山で灯が点こう。

おお、そう言や、森戸の松の中に、ちらちらと灯が見える。