Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

おちばのとなり

落葉の隣り

山本 周五郎

Read 落葉の隣り (おちばのとなり) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 28,877 characters · 57 screens

Aozora Bunko

「ちょっと飲んでいたんだ」おひさを見ると繁次はすぐに云った、「臭かったらはなれていてくれ」

「さきに云っとくわね」おひさは繁次の言葉に構わずそう云った、「あたし悪いけれど、あんたたちの話を聞いちゃったのよ」

「鈴虫の厨子のこともか」

「ええ、頼んだ道具屋さんが潰れたってことも」

「あれは贋作だ」と繁次が云った、「写しだと云ったが、道具屋と結託して鈴虫の厨子の偽物を作ったんだ、あいつはもうだめだ、参吉はいい腕を持っているが、その腕のいいのが仇になった、いまっから道具屋と組んで、名物の偽作なんぞするようじゃおしまいだ」

「だってあの人、お金が要るんでしょ」

「作りだしたのはそのまえっからだ」と繁次は怒りを抑えかねたように云った、「おめえが帰ってからおらあ云ってやった、そんな無理なことをして嫁に貰ったって、おんば日傘で育った金持の娘に、おめえの稼ぎでやりくりのできるわけがねえ、また贋作、偽物を作るということになるぜって」

「あんたは昔っからあの人が好きだったわ」

「好き以上だ、おれはあいつこそ万人に一人っていう職人になると思ってた」と繁次は云った、「――人間てもなあわからねえ、おらああいつを、おれなんぞとは段違いなやつ、いまに必ず偉くなるやつだと信じこみ、あいつがおれの友達だっていうことが自慢だった、あいつのためならどんなこと